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また審判本を読んでみた [Jリーグ]

先月は審判本を読んでみて、その感想をブログに書きました。

レフェリングも含めて観戦を楽しめるようになりたい(当サイト8月19日)


これはJFAの審判委員長の著作だったんですが、Jリーグの試合を裏側から見ることができて、非常に面白かったです。


で、新たに興味を持って、審判本をさらに読んでみることにしました。

主審告白(家本政明著)

あの家本主審の著作です。

「あの家本」っていうと、なんとなくどういう意味の「あの」なのか通じてしまうからすごい人です。

”あの”家本主審の本です。


この著作は、2010年8月の本で、あの2008年のゼロックススーパーカップでの問題から試合の割り当て停止を受け、そこから2010年に国際試合でイングランド戦をさばくようになるまでの成長を中心に自らの視点で語ってくれた作品です。


あ、またアマゾンのリンク張ってありますけど、図書館とかで借りてくださいね。私は図書館で借りてます。



家本か・・・・
横浜FC戦ではやられましたよ。ハンド流されたよね。しかも俺たちの庭フクアリで。

という印象が強かった、わたし。
家本が吹くと何か起こってしまいそうだ、って思う人が多いのでは。


だけど、本を読んで事情を知ってみると、ああ、そうか、って。
私は割と簡単に家本派になってしまった。
影響されやすいもんで。人の話に。



本の内容は、ロングインタビューかなにかを誰かにまとめてもらったような感じで、語り口調です。
読んでいくと、審判の視点からみると、サッカーってどうなのかがわかりました。


で、また盗作にならない程度に感想を書いてみます。



①レフェリーの事情と、レフェリーそれぞれのやり方。

まず、つまんない試合を作り出してしまうレフェリーは、なぜそういうことをしてしまうのか。
見に来ているお客からすれば、面白くなるようにうまくやってほしい。
でも笛で試合がストップし、笛が試合を決めてしまったりするわけです。

これにはレフェリーの事情もあるようです。

前読んだ本にレフェリーの評価方法についても書いてありましたが、家本氏も触れていました。

「僕の立場も考えてくださいよ、僕だってね、好きでそんなピッピピッピやってるわけじゃないんですよ。しょうがないところもあるんですよ。」

ルール通りに反則を取ることによって点数がつくため、レフェリーとしての評価を得るためにはある程度厳格にとる必要があって、流した方がいい場面でも笛を吹いてしまうのだとか。
で、1級審判になる前のいままで一緒にやっていた仲間たちから「なに神経質になってるの」とか「前の方が面白かった」とか言われ、ジレンマがあるとのこと。つまりレフェリーも仕方なく止めているということです。

だから、若手審判は評価を高めるため流さない傾向があるのだとか。

で、家本主審自身は、今現在は大事なポイントだけ抑えて、選手との駆け引きを楽しみながら柔軟に対応するようにされているそうです。自らをエリートコースから外れた泥んこまみれの審判だと評し、厳格すぎず柔軟な対応が出来るようになったとおっしゃってます。

選手名は出してませんが、某有名選手に周りに見えない場面でひじ打ちを食らったが、選手生命を考えて流してあげた話とか載っていました(審判団、相手チームの監督等には伝え、更生を促すようにしたそうです)。

この辺のことを本で書いてしまうのがすばらしい。目を付けられるんじゃないの?
いやもうつけられているからいいのか。



あとは、家本主審と選手との関係が面白いと思いました。

家本氏は、選手とコミュニケーションを多くとるようにし、ゲームコントロールをするそうです。

たとえば、見えにくい場面での反則行為が繰り返されている場合、または、その選手が興奮していたり、あまりレフェリーとの関係がうまくいっていない選手である場合、そのチームで主審と良くコミュニケーションのとれる選手と話すことによって止めてもらったりするとか。
カードを出すことで抑制する場合もありますけど、事前に抑制できればその方がいいですし、カードを出せば選手と衝突する場合もありますもんね。
チームメイトから言われれば、割と納得してやめるそうですし、言う方のチームメイトもカードが出たりするのを抑止できるので、協力してくれるケースが多いとのこと。

また、選手は見えないところでやっていたつもりのファウルを身内を通じて内緒で指摘されて、家本主審のことを一目置いてくれるようになり、よりコミュニケーションが取りやすくなっていくのだそう。

なるほどなと。

選手との関係はレフェリーそれぞれのようで、試合中は笑わない人、いっさい余計なコミュニケーションはとらない人などいろいろだそうです。

試合中、選手と主審のやり取りにも注目してみると面白いのかもしれません。


②やっぱり大変なお仕事

前回読んだ本でも書いてありましたが、レフェリーの待遇が大変そうです。

アマの審判の方は、前日は仕事をして、次の日は笛を吹いて、翌日の始発で職場に直行という人も少なくないとか。
Jリーグを舞台とする審判がこのような状態ですから大変ですよね。九州とかでも試合があるので、行き来も大変です。

学校の先生や公務員だと試合の報酬を受け取れない人も多いらしく、さらにしんどいようです。

で、家本氏のようにプロだとどうか。

彼は毎試合、職を失う覚悟で試合に臨んでいるそうです。大きなミスを犯せば、信頼を失い、仕事ができなくなる。レフェリーは、選手のように失敗してしまったら次に活躍して取り返す、というのができない(審判が活躍ってする場面がない)ので、大変です。定年制ではないそうですが、あまり年をとればできなくなるし、毎年契約更新ができるとも限らない。ほかに仕事がある方が安心なのかもしれません。

Jリーグのような大舞台で笛を吹くのには、関連する試合のビデオをいくつも見て、選手の特徴をつかんで、走れるよう自分のトレーニングをして。準備も大変です。

やはり少しでもレフェリーという職業自体を、サッカー選手や監督と同じようなリスペクトを集める存在にしていくか、いまより安定的な職業にしなければ、日本サッカーは成熟できないんじゃないかと思います。



③やはり少し偉そうだ。

これは本書の内容とは関係ないですけど、語り口調で書かれていて、ものすごくフレンドリーな書かれ方をされているのですが、少し偉そうです。

おれが一番だというような自信から来るのか、レフェリーという頼る者のいない職業柄なのか、フレンドリーに書いてあっても偉そうな印象を受ける(笑)

不思議です。

これは家本氏自身がされてきた勉強やトレーニング、それからJチームの職員(元京都サンガの社員)としてサポや人と多く接してきた非常に多くの経験が、強い自信となって現れているのかなと思います。

カイロプラクティックの資格をもち、トレーニング学も有名な先生を師匠と仰ぎ学んでいたとか。
審判の動きの参考としてクラシックバレーの動きやトレーニングを取り入れるなど、ベストな動き・トレーニングを深く追求されています。
自身の試合のビデオは3回見ておられ、1回目は片チームの立場で、2回目はもう一チームの立場で、3回目は自分の立場で、計3回見るとか。
試合前、試合後の調整は、自転車で富士山を1週。120キロを5時間くらいで走るそうです。このくらいやると調子がいいのだとか。
調整ってレベルじゃないだろそんなに走ったら。わたしが以前自転車で70キロを走ったときは筋肉痛とお尻が腫れて2週間ほど動けなくなりました。
これも座席の位置などミリ単位の調整が必要で、ピッタリあったときは疲労を残さず調整できると書いておられました。

京都サンガの職員(まだ若いのにかなり深いところまで経営・運営に関わっていたようです。)をされていた関係で、サポの立場や考え方、活動というのもよく熟知されています。

本書の中には、もっといろいろとやっておられることを紹介されていましたが、ものすごい努力だと思えるものをさらっと書いておられました。やはり、日本で一流になっている方ですからものすごい努力をされているようです。

それが自信につながっていて、主審として毅然とした態度で試合に臨めるのでしょう。

でも、その自信に満ち溢れているところが、あの判定を生んでいるのかもしれません。




とまあ、こんな感じで、こちらの本も楽しく読めました。

一流の人たちって人間ドラマを多く抱えてる人が多いので、その人生に触れるのって楽しいです。



彼は反骨精神の塊でアウトローな審判だとか。

海外の代表戦の笛を吹くなど十分エリートなはずだが、自らをアウトローだと堂々と本に書いてしまうのは、

ちょっといいやつだなって。

ちょっと、家本という主審が好きになりました。



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さて、次は、以前コメント欄でご紹介いただいた本を読んでみたいと思います。
買うには買ったけれど、いつ読めるかなあ。
早く読みたいなあ。

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